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日別アーカイブ: 2025年2月17日

第3回シロアリ駆除雑学講座

皆さんこんにちは!

JAST株式会社、更新担当の中西です。

 

さて今回は

~歴史~

今回は、シロアリ被害の歴史、日本におけるシロアリ対策の発展、防蟻技術の進化について深く掘り下げて解説します♪

 

シロアリは、木造住宅に深刻な被害をもたらす害虫として知られ、日本では古くからその対策が重視されてきました。シロアリ対策工事は、住宅の耐久性を維持するための重要な施工であり、時代とともに防蟻技術が進化してきました。


1. シロアリ被害の歴史:日本の住宅との長い戦い

① シロアリの生態と日本における分布

シロアリは世界中に生息しており、日本では主に以下の3種類が住宅被害の原因となります。

  1. ヤマトシロアリ(全国に分布)

    • 湿気の多い木材を好み、主に床下や湿った木材を食害する。
    • 地中から侵入し、ゆっくりと被害を拡大させる。
  2. イエシロアリ(関東以南の温暖地域に分布)

    • 加害速度が速く、大規模な被害を引き起こす
    • 乾燥した木材にも被害を及ぼし、建物全体を侵食することもある

 

  1. アメリカカンザイシロアリ(主に本州、四国、九州、沖縄に分布)
    • 他のシロアリとは異なり、土壌に巣を作らず、乾燥した木材の中に巣(コロニー)を形成する。
    • 建物内部の木材や家具に直接巣を作り、内部を食害するため、建築物に大きな損傷を与える。
    • 加害スピードは遅く、木材の表面は食べないため外見からは被害に気づきにくく、知らないうちに被害が拡大する恐れがあります。

これらのシロアリは、日本の気候(高温多湿)に適応しており、古くから木造建築に被害をもたらしてきました


② 古代~中世:木造建築とシロアリ対策の始まり

日本の住宅は、奈良時代(8世紀)から木造建築が主流であり、シロアリ被害は当時から発生していたと考えられます。しかし、この時代の建築物は寺社仏閣のような大規模建築が中心であり、一般住宅の耐久性にはあまり関心が持たれていませんでした。

  • 寺社建築の防蟻対策
    • 礎石建築(地面に直接木材を接触させない)
    • ヒノキの使用(ヒノキはシロアリに比較的強い)
    • 湿気対策としての高床式建築

しかし、一般住宅ではシロアリ被害が頻繁に発生していたと考えられます。


③ 江戸時代:防蟻技術の発展

江戸時代(17~19世紀)になると、木造の長屋や武家屋敷が増え、シロアリ被害が住宅問題として認識されるようになりました。この時代に取られた対策には以下のようなものがあります。

  • 焼き土台の使用:基礎部分の木材を火であぶって表面を炭化させ、防蟻性を高める。
  • 塩や灰の利用木材の周囲に塩や木灰をまくことで、シロアリを寄せ付けないようにする
  • 水はけの改善:家の周囲に溝を掘り、湿気を逃がしてシロアリの発生を防ぐ。

これらの方法は自然由来の対策であり、化学薬剤を用いた防蟻技術が登場するのは近代以降になります。


2. 近代のシロアリ対策(明治~昭和)

① 明治時代:西洋建築の導入と防蟻技術の発展

明治時代(1868~1912年)になると、西洋の建築技術が導入されました。しかし、洋風建築でも木材が多く使用されたため、シロアリ被害は依然として深刻な問題でした

  • 防蟻薬剤の開発

    • この時代に、クレオソート(木材防腐剤)が使われるようになる。
    • 主に鉄道の枕木や電柱の防腐処理として利用されたが、住宅建築にも応用された。
  • コンクリート基礎の採用

    • 木造住宅の基礎部分にコンクリートを用いることで、シロアリの侵入を防ぐ試みが始まる。

② 昭和時代:化学薬剤による本格的な防蟻工事の普及

戦後の復興期(1950年代~)には、住宅建設の需要が急増し、それに伴いシロアリ被害も増加しました。このため、昭和時代には化学薬剤を使用した防蟻対策が本格的に普及しました。

  • 有機塩素系防蟻剤(DDTなど)の使用(1950年代)

    • 高い防蟻効果を持つが、環境への影響が問題視され、後に使用禁止
  • クロルデン系防蟻剤の導入(1960~70年代)

    • 効果が長持ちし、コストも安価だったが、人体や環境への悪影響が指摘され、1990年代に禁止
  • ベイト工法の開発(1980年代)

    • シロアリを直接駆除するのではなく、毒餌(ベイト)を利用して巣全体を壊滅させる方法が登場。

この時期に、防蟻工事が住宅建築の標準工事として組み込まれるようになり、一般家庭でも防蟻処理が行われるようになりました


3. 現代のシロアリ対策(平成~令和)

① 環境に優しい防蟻技術の進化

近年では、人体や環境に配慮した防蟻技術が求められるようになり、新たな対策が登場しています。

  • ホウ酸系防蟻剤(安全性が高く、長期間効果が持続)
  • 物理的防蟻シート(シロアリエンキリテープ)(薬剤を使わずシロアリの侵入を防ぐ)
  • 自然由来の防蟻材(ヒバ油・ヒノキ精油)(天然成分による防蟻効果)
  • ベイト材(トレロナATBSなど)

4. まとめ:シロアリ対策工事の歴史と未来

シロアリ対策工事の歴史は、日本の木造住宅を守るための技術の進化の歴史でもあります。

  1. 古代~江戸時代:自然素材を活用した防蟻対策(礎石、焼き土台、塩・灰)。
  2. 明治~昭和:防蟻薬剤(クレオソート、DDT、クロルデン系)の導入。
  3. 平成~令和:環境に優しい防蟻技術(ホウ酸、防蟻シート、ベイト材)の発展。

これからのシロアリ対策は、環境負荷を抑えながら、より持続可能な防蟻技術を開発することが求められるでしょう。シロアリ対策工事は、今後も住宅の安全性を確保するために欠かせない存在であり続けます。